花咲徳栄、決勝で惜敗 序盤の5失点響く 秋季関東高校野球

(5日・千葉県野球場)

 最終日は決勝が行われ、花咲徳栄東海大相模(神奈川1位)に健闘しながら3−6で惜敗し、悲願の初優勝は達成できなかった。東海大相模は5年ぶり5度目の優勝。

 花咲徳栄は2点を追う三回、佐藤の適時二塁打で1点差に詰め寄った。六回は1死から大塚の犠飛、七回には2死から木村の適時打でそれぞれ1点ずつを返したが、中盤までの5失点が大きく響いた。

 選抜高校野球大会(来年3月21日から12日間・甲子園)の出場校を決める選考委員会は来年1月29日に行われ、花咲徳栄が選ばれれば7年ぶり2度目の出場となる。

◇真っ向勝負に満足感

 表彰式が終わり、優勝した東海大相模に続いて胸を張ってダイヤモンドを一周した。退場する花咲徳栄ナインの表情は敗れた悔しさよりもむしろ、真っ向勝負を貫き続けた満足感が漂っているかのようだった。

 かわすことなく、逃げるそぶりもまったくなかった。象徴的だったのが、1点差で迎えた四回1死三塁の場面だ。第1打席で先制2ランを放った一二三を迎えて、一塁ベースは空いていた。打線は下位。この試合の勝敗だけを考えるなら、歩かせてもいいところだ。

 ところが、花咲徳栄ベンチは勝負を選択した。カウント1―1からの3球目。先発五明も内角をスライダーで目いっぱいえぐりにいく。一二三の打球は左翼線に達し3点目を献上。それでも、五明は「思い切り投げられたので良かった。みんなの気持ちが励みになった」と悔いはなかった。

 今秋の不安材料は投手力だった。エースが県大会からフォームを変え、調子がなかなか戻らなかったからだ。エースを助けようと、打線が懸命にカバーした。岩井監督も「自分の仕事を完ぺきにこなして、弱点を克服しよう」と鼓舞してきた。

 「五明に投げさせるために、チームがここまでまとまってきた」と主将の根建。そんなチームの後押しが、最後の最後でエースに再浮上のきっかけを与えた。勝負には確かに負けた。だが、投打の両輪がうまく回り始めたことが、今秋一番の収穫だった。

埼玉新聞