花咲徳栄、初の決勝 東海大望洋に逆転勝ち 秋季関東高校野球

 高校野球の第62回秋季関東大会は4日、千葉県の千葉県野球場で準決勝2試合が行われ、埼玉第2代表の花咲徳栄は、千葉第2代表の東海大望洋に4−1で逆転勝ちした。今大会で6度目の出場となる花咲徳栄が、決勝に進出したのは初めて。埼玉県勢の決勝進出は2004年の浦和学院以来、5年ぶり14度目。

 花咲徳栄は来春、甲子園球場で開催される第82回選抜高校野球大会の出場が有力になった。出場が決まれば7年ぶり2度目となる。

 花咲徳栄は三回に1点を先制されたものの、八回に集中打で4点を奪って試合をひっくり返した。投げては2投手の継投で、東海大望洋打線を1点に抑えた。

 最終日は5日、同球場で10時から、花咲徳栄東海大相模(神奈川1位)の組み合わせで決勝が行われる。

◇采配的中 一丸で逆転

 終盤に入っても、負けているチームのような暗さはなかった。花咲徳栄が今秋の勢いを象徴するかのような集中打を見せ、初の決勝進出。岩井監督は「(逆転の)八回はとにかく、狙ったボールを思い切り打てと指示した」と興奮を隠し切れず、矢継ぎ早に話した。

 逆転劇は監督の名采配が口火となった。終盤に入り、相手投手、尾沢のボールは上下に外れ始めていた。これを見た岩井監督は「これなら背の低いやつがいい」と、八回の先頭打者に身長164センチの主将、根建を代打起用した。根建がストレートの四球を選び、采配が的中。ナインは一斉に「名采配だー」と声を張り上げ、ベンチ内がこの試合で一番盛り上がる。

 がぜん、逆転の雰囲気が漂い始めた。続く犠打を木内が初球で決めると、敵失で無死一、三塁とチャンスが広がって勢いは加速。佐藤の同点打、大塚が逆転打を放つと、お祭り騒ぎは最高潮に達した。1年生の大塚は「同点で気が楽になっていたし、ベンチも、もう行け行けで乗っていた」とチームの後押しによる一打を喜んだ。

 先発して7回1失点の好投をした松本と大塚の1年生コンビをはじめ、日替わりヒーローが勝利を呼び込んでの3連勝だ。大塚は「関東のてっぺんに立ちたい」と胸を張る。チームは最高の雰囲気で初の決勝戦を迎えることになりそうだ。

◇1年生松本が好投

 1年生の松本が7回を1失点に抑える好投を見せた。ピンチにも動じることなく、初の決勝進出に貢献。「チームのために投げようと思っていたので、少しほっとしている。楽しく投げられた」と、あどけなさの残る表情で振り返った。

 得点圏に走者を置くこと実に4度。だが、ピンチで粘り強さを発揮した。七回には2死一、二塁の場面を迎えながら、低めを突く投球で乗り切り、八回の逆転勝ちにつなげた。「この試合は大きな自信になった」と笑顔を見せていた。

埼玉新聞