花咲徳栄、4強入り 浦和学院は敗れる 秋季関東高校野球大会

 第62回秋季関東地区高校野球大会は2日、千葉県の県野球場と市原市臨海球場で準々決勝4試合があった。

 県勢の花咲徳栄市船橋(千葉3位)に14−2でコールド勝ちし、4強入りを果たした。浦和学院東海大相模(神奈川1位)に0−7でコールド負けした。県野球場の準々決勝第2試合が延長十三回日没引き分け・再試合となったため、3日に予定されていた準決勝2試合は順延された。

 花咲徳栄は県野球場で4日午前10時から東海大望洋(千葉2位)と対戦する。

◇四回、7長短打猛攻

 花咲徳栄は初回、四死球で出塁した2人が五明の左中間三塁打で生還し先制。二回にも相手のミスを突いて加点し、四回には打者12人が7長短打の猛攻で大量リードを奪った。市船橋は守りが浮足立ったのが響いた。

◇関東一を目指す 根建亮太・花咲徳栄主将

 ここまできたら技術面ではなくて勝ちにこだわっていこうとチームで話し合った。(興奮しているので)疲れは感じていない。残り2試合もこの勢いで勝ち上がり、関東一を目指したい。

◇打線奮起で大勝

 花咲徳栄は「ここまでになると思っていなかった」と佐藤卓也選手(2年)が話すほど打線が奮起して大勝した。1回戦は前橋商に勝ったものの、夏の大会の経験者の佐藤選手、橋本祐樹選手(同)、木村駿斗選手(同)は無安打に終わり、試合後、1時間以上かけてフォームを修正したり素振りをした成果だ。橋本選手は「まだまだ満足していない。3番として次の試合は思い切り打ちたい」と、顔を引き締めていた。

◇好機に決定打欠く

 浦和学院は四回まで毎回走者を出したが、再三の得点機に決定打を欠き、打線がつながらなかった。投手陣も雨上がりの軟らかいマウンドで制球が定まらず、押し出し四球を与えたり、ストライクを取りにいった球を痛打されて失点を重ねた。

◇自分らの野球が… 星稜太・浦和学院主将

 序盤の好機を逃し、自分たちの野球ができなかった。練習通り1死三塁の好機を作れたが、そこから得点できなかった。守備や走塁のミスもあり、最後までペースをつかめなかった。

◇チームメートのお守り胸に 浦和学院2年・阿部良亮投手

 「おれの思いを受け継いでくれ」。ベンチ入りできなかった親友の喜多大輔投手(2年)から手渡されたお守りを胸に、マウンドに登った。しかし、四回に3四球を与えるなど投球が崩れ、この回で降板した。

 県大会では地区予選も含め3試合で完投。140キロ台の直球やカーブ、スライダーなど多彩な変化球を武器にチーム躍進の原動力となったが、今大会ではなぜか切れを欠いた。県大会後、試合に登板しない日が約1週間続いた。「その間に調子が狂い、自分の投球ができなくなった」

 1日の1回戦は四回に2失点を喫し、五回降板。なんとか調子を取り戻そうと同夜、シャドーピッチングを繰り返した。が、伸びのある本来の球は最後まで取り戻せなかった。

 試合後、「あいつに悪かったな」とつぶやいた。喜多投手は「今はただ、お疲れ様と言いたい」。そこには、厳しい練習を一緒に乗り越えてきた同級生ライバルへの思いやりがあふれていた。

毎日新聞埼玉版)