浦和学院、逃げ切り8強 あす春江工戦 明治神宮大会

 野球の第43回明治神宮大会は10日、神宮球場で開幕し、高校と大学の1回戦が行われた。高校の部に関東代表で3年連続出場の浦和学院が、四国代表の高知に4−3で競り勝ち、8強進出を果たした。

 浦和学院は一回、2死から山根の三塁打で好機を築くと高田の中前適時打で幸先良く先制。二回にも捕逸で追加点を奪った。二、三回に同点とされたが、五回には2死一、二塁から贄(にえ)が中前に、続く山根も右前に運ぶ連続タイムリーで突き放した。

 先発の1年生左腕小島は被安打7で3失点完投。制球が定まらず8四死球を与えたものの、連打を許さず最少失点にしのいだ。九回に迎えた1死一、二塁の同点、サヨナラのピンチでも次打者を中飛併殺に仕留めた。

 浦和学院は12日、2年ぶりのベスト4入りを懸け、北信越代表の春江工と準々決勝を争う(11時・同球場)。

◇薄氷勝利も要所で地力

 4−3の九回裏、1死一、二塁の一打同点、サヨナラの大ピンチ。小島の投じた148球目に高知の5番上田が快音をとどろかせる。だが中堅手山根の正面への飛球となり、二塁走者が飛び出し併殺。事なきを得た小島は「ヤバいと思ったがほっとしました」。浦和学院が関東王者のプライドに懸けて1点差を守り切った。

 まさに薄氷を踏む勝利だった。二回までに2点を先制したが外野手のまずい守備から二、三回に1点ずつを失いすぐさま同点。五回に贄、山根の連続適時打で突き放し勝負ありかと思いきや、七回の1死二、三塁ではダメ押し点を奪えなかった。

 1年生エースも本調子からは程遠い出来。一回に2段モーションを球審に指摘されたことでリズムを崩し、四死球からピンチの連続。続投を志願した九回には1死二塁から、ここまで4安打2打点の4番和田恋を敬遠し、後続を何とか抑えた。

 それでも終始先手を握り、一度もリードも許さなかったのは地力を備えている証し。「修正点は多いが、緊張する舞台でも自分たちの力を発揮できる精神状態になりつつある」と森監督。昨年は1点リードの八、九回に計8失点しただけに、どんな形、展開であろうと勝ち切れたことにこそ、大きな意味があるのだ。

埼玉新聞

◇練習成果、大舞台で 浦和学院・贄隼斗選手(2年)

 2−2で迎えた五回表。2死一、二塁の好機で打席に立った。「落ちる球を狙え」との指示通り、外角のチェンジアップをフルスイング。教科書通りのセンター返しで中前にはじき返し、勝ち越しの適時打となった。

 秋季関東地区大会後は、午前5時からバットを振り込んだ。この日は「初めての神宮で緊張した」が、地道な練習の成果が大舞台で発揮された。それでも「練習を手伝ってくれる3年生や、支えてくれる人たちのおかげです」と謙虚に語る。

 静岡県島田市出身。地元を離れ、浦和学院への入学を許してくれた親に恩返ししたいとずっと思ってきた。静岡から応援に駆けつけてくれた両親の目の前で、活躍する姿を見せられたのが何よりうれしい。

 関東地区大会史上初の3連覇を達成し、チームは勢いづいている。だが「(3連覇は)先輩たちが築いてくれたもの。うぬぼれてはこの先は勝てない。目標は全国制覇です」。次戦へ向け、すぐに気持ちを切り替えた。

◇攻撃が今後の課題 浦和学院森士監督

 終始先攻していた割に、ゆとりのない慌てた野球だった。初戦で緊張もあったと思うが、逆転されなかったことは大きかった。まだまだチームとしては修正点がたくさんある。今後の課題は攻撃力だ。

▽1回戦

浦和学院
110020000=4
011000100=3
高知

【浦】小島−西川
【高】坂本優、酒井、和田恋−川上翔

三塁打 山根(浦)和田恋(高)
二塁打 和田恋2、市川(高)

 浦和学院は同点で迎えた五回、贄の中前適時打で勝ち越しに成功、続く山根の右前適時打でさらに1点を加え、試合を決めた。先発小島は要所を締め被安打7の完投。高知は七回に1点差まで迫ったが、及ばなかった。

毎日新聞埼玉版)