花咲徳栄4年ぶり優勝、浦学の4連覇阻む 秋季県大会

 秋季高校野球県大会最終日は8日、県営大宮球場で決勝が行われ、Aシードの花咲徳栄が4連覇を狙った同じAシード浦和学院を8−2で下し、4年ぶり3度目の栄冠に輝いた。花咲徳栄が秋季大会決勝で浦和学院と対戦するのは6度目で白星を挙げたのは初。花咲徳栄浦和学院は関東高校大会(27〜31日・群馬)に出場し、来春の選抜大会出場を目指す。

 今大会の花咲徳栄の盤石ぶりを象徴するような試合展開だった。一回表、先頭の野沢の右前打を足掛かりに2死満塁を築くと、古川が押し出し死球を選び先制。続く山本竜が右越えに走者一掃の二塁打を放ち3点を追加した。その裏、先発小栗が1点を失い、なおも1死満塁のピンチを招いたが、投ゴロ併殺に切って取り最少失点にしのいだ。

 二回以降、左腕小栗は立ち直り、9回を6安打2失点で完投。打線も若月の2本の中犠飛など、小刻みに加点し10安打で8得点を奪った。

 今夏準々決勝で優勝した浦和学院に1−2で惜敗したものの、2年生が6人スタメンに名を連ねたこともあり、新チーム発足から練習試合ではほとんど負け知らず。秋季地区大会、県大会も2、3回戦と順調に勝ち上がってきた。

 だが落とし穴が待っていた。国体による中断期間中だった9月29日。練習試合でナインは気の抜けたプレーを連発。走るべき場面で走らず、打線も勝負を決めるところでバットが出ない。堅いはずの守備は何でもない当たりをエラーした。決め事を徹底するトクハル野球にはふさわしくない姿が岩井監督の逆鱗(げきりん)に触れた。「もうおまえたちとは野球はやらない」。指示もサインも出さず、全員を干した。

 ナインは自分たちだけでミーティング。「もう一度、一からやろう」。全員の決意は固まり目の色も変わった。迎えた4日の準々決勝では埼玉栄を5−0の完封で下し、岩井監督も「気合が入ってたね」と認めたほどだ。主将の根建は「一回り大きくなって団結できた。チーム状況も良くなった」と拳を握った。

 準決勝も競り勝ち決勝は、今県大会では最多の8得点で王者を粉砕した。だが埼玉の頂点はあくまで通過点。遊撃手楠本は「絶対、取らなきゃいけない気持ちでやってきた」。捕手若月も「優勝しないとダメだと思っていた」と表情を引き締める。期待が懸かる関東大会へ岩井監督は「埼玉の代表として、選抜(出場)を意識して戦う」と力を込めた。3大会ぶりの“春”を目指し、花咲徳栄の本当の戦いは、ここからが本番だ。

埼玉新聞