秋季県大会4強決定 浦学×聖望 川越東×徳栄

 (4日・県営大宮ほか)

 第6日は準々決勝4試合が行われ、浦和学院花咲徳栄、川越東、聖望学園が勝ってベスト4に進出した。

 4連覇を狙うAシード浦和学院は4点を追う九回、高田、木暮の連続適時打、代打伊藤の押し出し死球で1点差とすると、渡辺の二ゴロが敵失を誘い2人が生還。上尾に7−6で逆転サヨナラ勝ちした。川越東はBシード春日部共栄に競り勝ち3年ぶりの4強入り。岩田の中前打で九回に勝ち越すと、1年生左腕高橋が4安打1失点と好投した。

 Bシード聖望学園は九回に3点を勝ち越し、粘る朝霞を7−4で振り切った。Aシード花咲徳栄は効率良く得点を奪い、関口、小暮のリレーで埼玉栄を5−0と完封した。

 休養日を1日挟み、準決勝は6日、県営大宮球場浦和学院聖望学園(10時)、川越東−花咲徳栄(12時30分)のカードで行われ、勝者が選抜大会への最終関門となる関東大会(27〜31日・群馬)に出場する。

◇絶体絶命で王者の底力 浦和学院

 2−3の九回に3点を追加され2−6。さすがに浦和学院の4連覇は風前のともしびだと誰もが思った。しかし、この絶体絶命の大ピンチになって、王者が目覚めた。「絶対に負けてたまるか」と甲子園メンバーの竹村。一球に食らい付く執念を取り戻し一挙5得点。大逆転のサヨナラ勝ちだ。

 九回、先頭の贄(にえ)が低めのフォークをすくう中前打で出塁すると、竹村、山根の連続四死球で無死満塁。球場の雰囲気がにわかに変わった。

 長打を警戒した上尾外野陣が深い位置を取ると、高田は中前にぽとりと落ちるタイムリーを放った。木暮も「仲間を信じてつなげる」とフルカウントから左前適時打で続き、2点を返し4−6。

 1死後、代打伊藤が押し出し死球で1点差。ここで渡辺が「絶対につなぐ」と全員の思いが乗り移った鋭いゴロが二遊間へ。打球が二塁手のグラブをはじき転々とする間に二者が生還し、劇的なサヨナラ勝ちが完結した。

 「奇跡だ」と森監督。追い込まれてから発揮した底力は、浦和学院の強さを印象付ける。しかし試合後の選手たちに笑顔はなかった。「悪いところの方が多かった。喜んでいる暇はない」と竹村。薄氷の勝利を反省した。

◇右腕関口、8回無失点 花咲徳栄

 花咲徳栄が、埼玉栄を全く寄せ付けず快勝。左右にきっちり打ち分ける打線も見事だったが、一番の原動力は公式戦初先発の右腕関口の力投だ。

 背番号1は「持ち味のストレートで押していこうと決めていた」と威力抜群の直球でぐいぐい攻める。前半こそ制球が定まらない場面もあったが、終わってみれば8回を2安打無失点。岩井監督も「尻上がりに良くなった」と合格点を与えた。

 打線も立ち上がりが不安定な右腕を援護。「早く点を取ってあげたかった」と3安打1打点の4番若月。二回に1点を先制すると、四回にも5安打を集中させ3点を追加した。花咲徳栄は投打に隙なく準決勝を迎える。

◇9回、地力勝ち越し 聖望学園

 今夏の準優勝校が最後に地力の違いを見せた。八回に追い付かれた聖望学園は九回に3点を勝ち越し、粘る朝霞を振り切った。岡本監督は「九回によう打ったよな」とほっと胸をなで下ろした。

 六回まで無安打投球だったエース川畑は「意識していなかった」というものの、七回の先頭に初安打を許した後に2失点。八回にも2点を奪われ、リードを失った。それでも九回2死二、三塁の好機をつくると女房役の中島が「結果じゃない。振りにいくことが大事」と2点三塁打を放った。

 準決勝で当たる浦和学院には昨秋の準決勝、今夏の決勝でも敗れた。中島は「次が勝負。リベンジします」と意気込んだ。

◇高橋好投、シード撃破 川越東

 1年生左腕の好投がチームを3年ぶりのベスト4に押し上げた。川越東の先発高橋は春日部共栄を4安打1失点で完投。「シード校には絶対に負けたくない。強気でいった」と笑顔を見せた。

 直球が走り、変化球の切れもよかった。五回に本塁打で1失点したが、そのほかは二塁に走者を進めたのが1度だけ。先頭打者を出さず、けん制で走者を3度もアウトにした。打線もルーキーの踏ん張りに応え、九回に岩田が決勝打を放った。

 中学時代は強豪の武蔵狭山ボーイズで全国大会に出場。前回4強入りした当時のエース左腕高梨(早大)に憧れ、川越東に入った。西部地区新人戦でも聖望学園を0点に封じた期待の星だ。

 次も強敵の花咲徳栄が相手。「自分の投球ができればいい勝負になる」と静かに打倒を誓った。

埼玉新聞