富士見高球児3人 連係して人命救助
県立富士見高校(富士見市)の野球部員3人が先月、飯能市内を流れる入間川でおぼれた1歳の男児を見事な連係プレーで救った。3人はこの夏に部を引退したが、「忘れられない夏になりました」と男児が助かったことを喜んでいる。埼玉西部広域消防本部は近く人命救助で感謝状を贈る。
お手柄はいずれも3年生の武田直孝(なおゆき)君(17)、會田(あいだ)航(わたる)君(18)、佐藤洸季(こうき)君(17)。武田君らは8月21日、他の同級生2人と飯能河原にバーベキューに来ていた。午後4時すぎ、ビーチボールで遊んでいた時、あおむけの状態で水中に沈みかけている男児を武田君が発見。抱きかかえて川から救い出した。
男児は顔が真っ青で体もむくむなど危険な状態。武田君は母親に対し、保健の授業で学んだ人工呼吸や心肺蘇生をアドバイス。會田君も119番通報を周囲に促した。佐藤君は以前受けた心肺蘇生の講習を思い出し、「あごを上げて、ちゃんと気道を確保して」と具体的に助言した。
すると、男児は水を吐き出し、呼吸が戻った。まもなく救急車が到着し、「救急車内から男児の泣き声が聞こえてほっとした」と武田君。男児の母親からは「無事助かった」と後に連絡があり、何度も「命の恩人」と感謝されたという。
「監督からいつも、『周りをよくみて自分のやるべきことを判断しろ』と言われてきたので自然と体が反応した。野球で培ったチームワークが発揮できた」と3人は口をそろえた。
野球部の山崎警監督も「3人とも控え選手。よく落ち着いてできた。成長を感じ、うれしかった」とほめた。
(朝日新聞埼玉版)