埼玉栄、鉄壁守備で横浜隼人下し4強 春季関東高校野球

 埼玉栄が、横浜隼人に守り勝った。

 埼玉栄は四、六回に武井が2打席連続タイムリ二塁打を放つなど3点を奪った。2−0の六回無死二、三塁の守りでは、投ゴロで三塁走者と二塁を狙った打者走者を挟殺。その後1点を返され、なおも2死二塁から左前打を許したが、左翼手浜崎が好返球し、二塁走者を本塁で刺した。佐藤大、板橋の継投で逃げ切った。

◇基本徹底ここぞで成果

 9回二死走者なし。最後の打者の強烈なライナーを三塁手武井がジャンプ一番。この試合の堅守ぶりを象徴するかのような幕切れにナインの笑顔も広がった。横浜隼人との接戦を制した埼玉栄の細淵監督は「守り勝ちでしょうね。日頃の練習の成果が出せてうれしい」。持ち味を発揮しての4強入りを素直に喜んだ。必勝リレーを二つのビッグプレーが援護した。

 2−0の六回。細淵監督は5回まで51球、2安打無失点と好投していた先発佐藤大から板橋にスイッチした。だが先頭に右前打、四球に暴投も絡み、あっという間に無死二、三塁の大ピンチを招いた。

 それでも動じない。

 続く打者の投ゴロを板橋が本塁へ。捕手高橋が飛び出した三塁走者を挟殺に持ち込み、三塁手武井がタッチ。二塁を狙った打者走者を「走ったのが見えた」と武井が落ち着いて二塁へ送球し、併殺を完成させた。内野安打で1点を返されたその後の2死二塁では、左前打を捕球した浜崎が「思い切り投げた」というストライク送球で二塁走者を刺殺した。助けられた板橋も「感謝しかない」。

 県大会決勝で1イニング3失策し、自滅したチームとはもはや別人。関東大会までの10日余り、もう一度、基本に立ち返って守備練習に取り組んだ成果をここ一番で見せた。

 初の決勝進出を懸けて戦う相手は選抜大会4強の健大高崎だ。「一戦必勝。気持ち負けせず、自分たちの力を出せば勝てる」と主将の高橋。12日の練習試合では九回に追い付かれて2−2。晴れの舞台で決着をつける。

絶好調男・武井がチームに勢い

 先手必勝に懸ける強い気持ちが打球の伸びに表れた。

 7番武井が好機で2打席連続のタイムリ二塁打。3得点中2打点を稼いだ。勝利の立役者は「いつもは外野を抜けない。たまたま飛んだ」と照れながらも、「たたきつける意識で打った」と充実感に浸った。

 鈴木の適時打で先制した直後の四回2死二塁、内角へ甘く入ったスライダーを振り抜き、左翼手の頭上を越える適時二塁打。1点差に迫られた六回2死二塁でも、2ボールから内角寄りの直球を中越えに運び、値千金の追加点を挙げた。

 20日の2回戦でも2安打を放ち、関東大会では6打数4安打と絶好調。「いいイメージで調子を継続させていきたい」と準決勝へ力を込める。

 インタビュー中に仲間から「面白いこと言え」とやじを飛ばされる“いじられ”役。ムードメーカーの活躍が、チームにかつてない勢いをもたらしている。

◇変化球で凡打の山 佐藤大

 「コースへ丁寧に投げられた」と笑顔を見せる先発の佐藤大。多彩な変化球を低めに集めて凡打の山を築き、5回を被安打2、無四球無失点の快投で流れをつくった。

 左のエース本間が2回戦で見せた好投に触発され「負けていられない。自分の投球には自信があった」と目を輝かせる。

 冬場は毎日10キロの走り込みや、重ねたタイヤを押して下半身を徹底的に強化。努力を惜しまない右腕は「投球に生かせている。やってきたことはうそをつかない」と手応えを実感していた。

埼玉新聞