埼玉栄、投打がっちり完封勝ち　春季関東高校野球

◇直球軸に好投

　伸びのある直球を軸に七回途中まで無失点の好投を見せた埼玉栄のエース本間。「高めに浮く球が多かった」と制球こそ本調子ではなかったが、バックの好守にも助けられ「要所を締められた」と満足げに振り返った。

　完投も視野に入った七回２死一塁の場面で打球が左腕に直撃。「全然大丈夫」と気丈に振る舞ったが、大事を取ってマウンドを降り「最後まで投げるつもりでいた」と悔しさをにじませた。

　「後ろを安心して任せられる」と全幅の信頼を置く投手陣の中でもエースナンバーを背負う自覚は十分。「マウンドに立つからには絶対に抑えたい」と闘志を燃やす左腕から目が離せない。

◇反省生かし会心勝利

　先発全員安打に３投手のリレーで完封―。埼玉栄が県大会決勝での不本意な敗戦を払拭する価値ある１勝を手にした。細淵監督は「いくつかミスはあったが、選手がのびのびやってくれた」と地元開催での白星に安堵感を漂わせた。

　南稜との決勝戦では０−０の五回に３失策を重ね５失点。打線も反撃が遅く、４−５と追い付けなかった。その浮き彫りとなった二つの課題を見事にクリアしてみせた。

　まずは“打”で強烈な先制パンチを浴びせた。

　一回、神山が四球、犠打で１死二塁を築くと、浜崎が「点を取って流れをつかむのが野手の仕事」と、下手投げ投手を攻略するお手本のように流し打つ、左中間への先制二塁打。高橋が左前打で続き、坂本の中前打で２点目。二回は４安打で２点、三回にも１点を追加するなど、三回までに９安打を集中させ試合を決定付けた。

　守備でも投手陣を援護。５−０の五回は四球と安打で無死一、二塁を招いた。だが続く打者のバントが捕邪飛。素早く捕球した高橋は「慌てたら南稜戦と一緒。落ち着いてプレーできた」と二塁へ矢のような送球。飛び出した二塁走者を刺し併殺に切って取った。

　浜崎は「一、二、三回が大事と、みんなで言ってきた。点が取れればいい形で試合を運べる」と理想の攻撃に納得顔。主将の高橋も「守備では要所でいいプレーが出せていた。反省が生きた」と会心の勝利に誇らしげだった。