春日部共栄サヨナラ  秋季県高校野球、4強決定

 (29日・市営大宮ほか)

 第5日は準々決勝4試合が行われ、浦和学院花咲徳栄春日部共栄聖望学園のシード4校が準決勝に進出。4強入りは浦和学院が3年連続16度目、花咲徳栄が2年ぶり11度目、春日部共栄が2年連続18度目、聖望学園が4年ぶり4度目。

 春日部共栄は0−0の九回、1死満塁から吉田が中前打を放ち昌平に1−0でサヨナラ勝ち。エース青木は5安打完封。聖望学園は田中の2試合連続弾など13安打で狭山ケ丘に8−3で快勝した。花咲徳栄はエース上田が埼玉栄打線を3安打に抑え、4−0で完封。浦和学院は小刻みに点を加え、初の4強入りを目指した本庄東を8−1の七回コールドで退けた。

 休養日を挟み、第6日は10月1日、県営大宮で準決勝2試合を実施。浦和学院聖望学園(10時)春日部共栄花咲徳栄(12時30分)のカードで行われ、関東高校大会(10月29〜11月4日・山梨)に出場する2校が決まる。

◇成長見せた「百点」完封 春日部共栄

 「きょうは百点」と百戦錬磨の本多監督をもうならせた。春日部共栄のエース青木が、昌平の左腕広橋との投手戦を完封で制し、吉田のサヨナラ安打を呼び込んだ。

 被安打5で12奪三振。しかも無四球と、文句のつけようのない投球だ。ムチのようにしならせた右腕から、切れ味抜群の直球と変化球が面白いようにコーナーに決まる。最後まで球威は衰えず三塁すら踏ませなかった。相手が好左腕ということもあり、「先に点はやれない」とエースとしてのプライドをのぞかせた。

 精神的に大きくなった。東部地区新人大会の昌平戦では3―3の延長十回に登板し、サヨナラ負け。カウントを悪くし、直球を痛打される悪循環から、「周りが守ってくれるから打たせればいい」。プラス思考に転じ、変化球でカウントを稼げるようになった。サヨナラ打の左翼手吉田も「リズムがよく、守っていて楽しい」と頼もしげ。

 準決勝の相手は今夏の決勝で敗れた花咲徳栄だ。「絶対にゼロに抑えて勝ちたい」。スタンドから見守ったマウンドで、今度は仁王立ちしてみせる。

◇最高の投球実らず 昌平

 大会屈指の左腕・昌平の広橋が準々決勝で姿を消した。サヨナラの場面は「(頭が)真っ白になった。一瞬にして力が抜けた」。

 球が走り、序盤から飛ばした。四回に味方の好守備と自らけん制で走者を刺しピンチを脱した。息詰まる投手戦。味方の援護を信じ延長十五回も覚悟していたが、最後は得意のスライダーを中前に運ばれた。

 被安打5、10奪三振。最高の投球内容だったが、勝利の女神にはそっぽを向かれた。「一球の大切さが分かった」。塚本監督は「10点取られても代える気はなかった」と2試合完封の大黒柱に全幅の信頼を寄せていた。

 試合後の広橋に涙はなかった。「負けない投手になりたい」。冬場は下半身の強化に励むつもりだ。そして「来年は頂点」と胸に強く刻んだ。

◇小技から強打 5回“GO”サイン 浦和学院

 序盤から手堅い野球に徹した浦和学院が快勝。本庄東の網倉に対し、森監督は「うまいので点を取りにいった」と犠打やスクイズを絡めた攻撃で4点のリードを奪うと、五回からは「どんどん行け」と強力打線にゴーサインを出した。

 一回に右中間へ先制の2点二塁打を放った4番笹川は「チャンスでの集中力が課題」と四回2死一、三塁で一飛に倒れた場面を反省。3安打2打点と打撃好調のエース佐藤は「目の前の戦いに集中する」と聖望学園との大一番に視線を向けた。

◇第1シードの壁高く 本庄東

 初の8強で勢いに乗る本庄東にとっても、第1シードの壁は高かった。連投の疲れも残る中、緩急を生かして強力打線に立ち向かったエース網倉は「冬を前にいい経験」と冷静に自己分析。「全ての面で二回りレベルアップして、差し込ませるくらい直球の球威を鍛えたい」と雪辱に燃えた。

◇打線上向き13安打 聖望学園

 13安打8得点での快勝に聖望学園の岡本監督は「打線が上向き。そこそこちゃう」とご機嫌。

 四回まで毎回得点の打線にむらはない。6番田中は三回に2試合連続本塁打。「(前打者まで)飛球が続いていたのでゴロを意識した」結果だ。4点差の八回には4番田浦の犠打で好機を広げ、その後加点した。「試合の流れが変わらんように」と指揮官は言った。

 準決勝の相手は待ち望んだ浦和学院。昨秋敗れただけに主将の小林健は「自分たちが浦学の連覇を止める」と力を込めた。

◇敗戦を冬の肥やしに 狭山ヶ丘

 西部新人大会では聖望学園に3−13で大敗した狭山ヶ丘だが、この日は粘った。6点を追う八回に4番伊藤が「チームを盛り上げたかった」と左中間に2ラン。3番手武藤は当時は一回に7失点したが、4回を2失点と成長を見せた。「チームはよくなっている」と主将の秋葉。この敗戦を冬の練習の肥やしにする。

◇上田0封、守りに感謝 花咲徳栄

 兄弟校対決で花咲徳栄が第2シードの意地を見せた。3安打完封の上田は「要所で打ち取れたのはバックのおかげ」と守備陣に感謝。岩井監督も「落ち着いて見ていられた」と1年生中心のチームをけん引する2年生エースを評価した。

 安定感が売りの上田を「最大限引き出したい」と支える女房役の1年生若月。勝利を引き寄せた五回の中越え2点二塁打にも「まぐれ」と笑顔。頼れるエースは「覚悟を持って臨む。全員で勝利をつかみたい」と強い決意を示した。

◇涙浮かべるエース 埼玉栄

 6年ぶりの4強を目指した埼玉栄だったが、好機で勝負強さを欠いた。先発本間は涙を浮かべながら「気持ちが空回りして、球が高めに浮いてしまった」と五回途中で4失点の投球を悔やんだ。主将の高橋は「投手陣が踏ん張ってくれたのに」と、散発3安打に終わった打線の強化を誓った。

■準々決勝
本庄東
0100000=1
2012111=8
浦和学院
(7回コールド)
【本】網倉−島村
【浦】佐藤、渡辺剛−林崎
三塁打 明石(浦)
二塁打 林崎、笹川、佐藤2、竹村(浦)

埼玉栄
000000000=0
00013000×=4
花咲徳栄
【埼】本間、芝崎−高橋
【花】上田−若月
二塁打 坂本(埼)佐伯、若月(花)

狭山ヶ丘
010000020=3
21120011x=8
聖望学園
【狭】小野、末広、武藤−伊藤
【聖】清水、小林佑、川畑−中島
本塁打 伊藤(狭)田中(聖)
三塁打 巻口(聖)
二塁打 小島(聖)

昌平
000000000 =0
000000001x=1
春日部共栄
【昌】広橋−上野
【春】青木−田村
二塁打 田村、小林(春)

埼玉新聞