ドラフト指名、3位3人 県関係選手に喜び

 28日のプロ野球のドラフト会議では、県関係の選手の名前が相次いで挙がった。浦和学院高校の南貴樹投手はソフトバンクから、飯能南高校からホンダ(狭山市)に進んだ武藤祐太投手は中日から、それぞれ3位指名されチームメートから祝福を受けた。花咲徳栄高校出身の阿部俊人選手(東北福祉大)は楽天が3位指名。埼玉西武ライオンズは、1位指名が集中した大石達也投手(早大)の交渉権を獲得。2位で日本通運さいたま市)の牧田和久投手を指名した。

ソフトバンク 南貴樹投手(浦和学院高)/「プロの体をつくる」

 「ここまで来られたのはチームのみんなのおかげ。プロについていけるよう、体をつくっていきたい」

 浦和学院の南貴樹投手(18)は指名を受けた喜びをそう語った。

 学校の食堂で一報を待った。ドラフト会議のテレビ放送は終わった後の3巡目。インターネットで指名を知った。ほぼ同時に野球部の森士監督にソフトバンク側から指名の連絡が電話で入った。

 東京都杉並区に住む母親の直美さんに電話で報告すると、「みんなに感謝して、これからもがんばりなさい」と言われたという。

 父親は米国人。3歳のときに来日。松坂大輔投手(米レッドソックス)が甲子園で優勝する姿にあこがれ、小学校1年生から野球を始めた。中学時代は東京のシニアチームに所属した。浦和学院の選手として甲子園でのプレーはかなわなかったが、「プロになる」との夢をかなえた。

 ソフトバンクについては「クライマックスシリーズは残念な結果だったけど、強いチーム」と話した。

 森監督は「将来性を買ってくれたと思っている。まだまだこれからの選手。体格を生かした選手になってほしい」と期待を膨らませた。

◇中日 武藤祐太投手(飯能南高−ホンダ)/夢が実現「緊張する」

 ホンダの本格派、武藤祐太投手(21)は狭山市の寮でラジオを聞き指名を知った。「プロだな」とチームメートから声をかけられた。すぐに報道陣が待つ食堂に現れて、「プロは夢だったので緊張しちゃうな」と言いながら、満面の笑みを浮かべた。

 目標は指名された中日の吉見一起投手。「中日はピッチャーがすばらしいので、しっかり負けずに投げたい」。ライバルは同級生のヤクルト・由規投手と話した。

 毛呂山町出身。飯能南高校ではエースで、3年時には夏の埼玉大会でベスト16まで進んだ。当時から球速は140キロを超え、プロに注目されていた。同校の岸野光男監督は「負けん気の強い、勝ち気な性格」と言う。

 ホンダに入って3年目。右腕から繰り出す直球も勢いが増し、今年の都市対抗野球ではエースとして登板した。

楽天 阿部俊人選手(花咲徳栄東北福祉大)/恩師に「やりました」

 花咲徳栄高校出身で東北福祉大の阿部俊人遊撃手(21)は、走攻守三拍子そろい、第5回世界大学野球選手権に日本代表として出場。会見では「大学の4年間過ごした仙台で、地域に夢を与えられるようになりたい」と語り、目標とする選手に大学の先輩の金本知憲外野手(阪神)を挙げた。

 指名の後、阿部選手から高校の恩師岩井隆監督に「やりました。夢がかないました」と喜びの声が届いた。東京の中学時代は名の知れた選手ではなかったが、「埼玉一の遊撃手になろう」と約束したことを、岩井監督は思い出したという。

 電話で「プロは厳しい世界。苦労するぞ」と言葉をかけると、「大丈夫です」と力強い言葉が返ってきた。

◇西武・渡辺監督「即戦力右腕」に笑顔爆発

 西武の渡辺久信監督は1位指名で、昨年の雄星投手の時と同じ6球団が競合する中、即戦力右腕・大石達也投手(22)の交渉権を勝ち取り、ガッツポーズ。2年連続の幸運に喜びを爆発させた。

 2位に指名された日本通運牧田和久投手(25)=静岡県出身=は右アンダースロー。多彩な変化球が持ち味で、即戦力としての期待も大きい。指名はさいたま市浦和区の野球部合宿所で知った。「最終的には先発ローテーション入りを目指したい。同じ下手投げの渡辺俊介投手(千葉ロッテ)が目標です」と抱負を語った。

朝日新聞埼玉版)