鷲宮、持ち味全開で8年ぶりの4強 秋季高校野球県大会

◇粘りの野球浸透 鷲宮

 粘り強く守って、しぶとく好機を生かす。持ち味が板についてきた鷲宮が県大会3試合連続の逆転勝ちで8年ぶりの4強進出。柿原監督は「個人では力がないけれど、大会を経験する中で、みんなで戦う色が出てきた」と満足そうに振り返る。

 適時打が出なくてもスクイズ、敵失で着実に加点した。3回戦はわずか2安打。この日は8安打ながら11残塁。バント失敗や走者が飛び出しての三重殺など、細かいミスや粗さが目立った。しかし、主将の遠藤は「ミスは出て当たり前。いかに切り替えるかが大事」と勝ち方を覚えつつある。

 先発栗田は打たせて取る投球で、二、四、八回のピンチも切り抜けた。次は夏に負けた浦和学院戦。栗田は「弱気にならず、強気で粘り強く投げたい」と、臆せず鷲宮野球を貫くつもりだ。

◇50年ぶり4強ならず 慶応志木

 50年ぶり4強の夢は破れた。42年ぶりにベスト8へ進んだ慶応志木だが、鷲宮に1−3で逆転の惜敗。2001年秋の就任以来、春夏秋を通じて自身最高の成績を挙げた柴田監督は、「ここまでよく勝った。大会に入ってからうまくなりましたね」とにこやかだ。

 南部地区大会から4試合のうち、3試合を完投した左腕エース加嶋が、ひじ痛で登板を回避。大黒柱を失った危機にも、たくましくなったナインは好勝負を演じた。

 三回、「落ち着いて打席に入れた」と振り返る寺田が先制二塁打。投手陣は右下手の久保、右腕の酒本で試合をつくった。だが、四回にスクイズで追いつかれると五、七回に失策で1点ずつ献上。夏の主力で唯一先発した主将の大塚は、「エラーがなければもっとやれたではなく、ミスが出るのが課題」と潔い。

 新チーム始動後、選手たちはキャッチボールや素振りなど、基礎からみっちり鍛えた。県大会初戦でシード上尾を破り、3回戦は富士見を下した。「下手だけれど、本当にまじめ。冬の練習に向けた勇気を得られた」と同監督。秋の収穫を元手に、これからも前進していく。

埼玉新聞