浦実、延長戦制す 秋季高校野球県大会

 浦和実が延長十回に決勝点を奪い、埼玉栄との接戦を制した。

 2−2の十回、浦和実は2死三塁から原田の三ゴロが相手失策を誘い勝ち越し。打線は12安打しながら11残塁と攻めあぐねたが、エース鈴木が要所を抑えて完投した。

 2点を先行された埼玉栄は、1点差の九回1死一、二塁から鈴木良の左前打で同点。だが、14残塁の拙攻が響いた。

◇堅い守りで窮地しのぐ 浦和実

 延長の末、浦和実が甲子園出場歴もある埼玉栄を退け、5年ぶりに4強入りした。「ようやく、ここまでたどり着いた」と、辻川監督の表情が少し緩む。1年生5人が先発しながら夏の主力も6人残ったチームは、ここぞで粘っこかった。

 真っ先に挙げるべき勝因は守りだ。2−0の五回、2死一、二塁のピンチでは、右中間への飛球を中堅手の山口がダイビングキャッチ。背番号8は「エースを助けたかった」と胸を張る。完投した1年生の鈴木は同点にされた九回、1死満塁でスクイズを失敗させて併殺に仕留めるなど難所をしのいだ。右腕は「自信がある直球で勝負した」とほおがほころぶ。

 打線も十回にしぶとく決勝点。2死三塁で途中出場の原田が「前に飛ばすことしか考えていなかった」と言う三ゴロは、三遊間に飛んだのも幸いして失策を誘った。

 準決勝で優勝候補の春日部共栄に挑む。「どのくらいできるのか、思い切りやるだけ」と指揮官。エース平野(現埼玉西武)を擁した2000年以来、10年ぶりの関東大会まで、あと一つ。

◇勝利目前 作戦が裏目 埼玉栄

 目の前まで来た勝利の女神にそっぽを向かれた。埼玉栄は九回、一打サヨナラの場面でスクイズを選択し失敗。十回に決勝点を奪われた。細淵監督は「やっとチームらしくなってきたのに・・・。勝たなくてはいけないし、勝たせてあげたかった。残念」と言葉をつないだ。

 1点を追う九回一、二塁、「気持ちで持っていった」という3番鈴木良の適時打で同点。続く窪木の安打で満塁とし、ベンチのムードは押せ押せだった。しかし、スクイズを試みた石田は投飛併殺。「スクイズのサインと分かっていたが、気持ちがふわふわしていた。全部自分のせい」と石田。同じくスクイズでサヨナラ勝ちした2回戦の再現はならなかった。

 直後に失策で勝ち越されると、もう勝ち運は残っていなかった。主将の角田は「情けない。もっと厳しく練習から見直さないと」と口元をぎゅっと結んだ。

埼玉新聞