浦和学院が4年ぶり9度目の優勝・埼玉栄に7−2

(5日・県営大宮)

 最終日は決勝が行われ、浦和学院埼玉栄を7−2で下し、4年ぶり9度目の優勝を飾った。浦和学院は5回に山崎の適時打などで2点を先取。7回には4点、8回にも加点し、突き放した。投げては羽倉と萩原大の継投で2失点に抑えた。

 埼玉栄は終盤で守備が乱れた。攻撃も7、9回には1点ずつ返したものの、6回まで1安打と沈黙した。

 浦和学院埼玉栄は関東高校大会(16−20日・上毛敷島ほか)に出場する。浦和学院は16日の2回戦で、下妻二(茨城2位)、埼玉栄は同日の1回戦で東農大二(群馬3位)とそれぞれ対戦する。

浦和学院「悔しさが王者の糧」

 冬を乗り越えた確かな証しを残した。昨秋の県大会は初戦敗退。浦和学院の選手はグラウンドに深々と頭を下げ、優勝をかみしめた。森監督は「負けたのが身に染みたかな。心と体力が成長した」とナインをたたえた。

 「毎日悔しさを持って練習してきた」と主将の島津。昨夏の南埼玉大会で埼玉史上初の3連覇を達成して甲子園出場後、秋には滑川総合に0−3の完封負け。新チーム始動は順風満帆の滑り出しではなかった。だが、自らを険しい道に追い込み、すぐさま前を向いた。

 負けた試合の後に課される約100メートルのダッシュ。それを冬の間の練習前に、森監督に志願して取り入れた。滑川総合戦での3失点を2倍し、さらに20本をプラスした計26本をずっと走り続けた。すべては「敗戦を忘れないために」。

 今大会も簡単に勝ってきたわけではない。2、3回戦はいずれも逆転勝ち。だからこそこの日、どこか余裕があるように見えた。5回に犠打などを絡めて2点先制し、終盤も抜け目なく5得点。エース羽倉は6回を投げて1安打に抑える力投を披露した。羽倉は「気持ちが強かった」と落ち着いた投球ぶりで目を引いた。

 島津は、「秋は0点に抑えられて焦ってしまった。だが、今は点を取られた後に点を取るのがチームカラー」と胸を張る。悔しさを必ず力に変えて、必ず結果をつかむ。それこそが王者が王者たるゆえんなのだろう。

埼玉栄「完敗も経験と自信に」

 「1試合ごとにいい経験と自信を積ませてもらった」。昨秋から埼玉栄を率いる細淵監督は穏やかに振り返る。決勝は浦和学院の前に力負けしたが、準優勝を勝ち取り、ナインに涙はなかった。

 先発はここまでリリーフが多かった左腕芹沢。準決勝で右腕竹内が死球を受けたこともあり、登板が回ってきた。序盤は投手戦に持ち込んだが、5回につかまった。「ボールが先行し、リズムが悪かった」と悔やむ芹沢。7回から代わった竹内もコースが甘く、浦和学院打線のえじきになった。細淵監督は「失点が多すぎた。きん差の争いにもっていけなかった」と残念がる。

 新チームは山あり谷あり。主将の林は「練習の仕方が変わって当惑があったが、やり続けて準優勝につながった」と正直に話す。エース島野の風邪による離脱も、芹沢と竹内の成長で乗り越えた。10日後には関東高校大会も控えるが、細淵監督は「心理的にも疲れたと思う」とひとまずは選手をねぎらった。

埼玉新聞