春季関東高校野球、埼玉であす開幕 出場校紹介

 7年ぶりの埼玉開催となる高校野球の春季関東大会は19日、県営大宮など3球場で1都7県から20校が参加し開幕する。県勢は4校が出場。県大会初優勝の南稜は初、準優勝の埼玉栄は3年ぶり5度目、3位春日部東は6年ぶり2度目、4位川口は初出場。19日の1回戦では春日部東が帝京(東京1位)、川口が前橋育英(群馬2位)と対戦。20日の2回戦で南稜が選抜大会出場の作新学院(栃木2位)、埼玉栄専大松戸(千葉1位)とぶつかる。地元開催で躍進を狙う4校を紹介する。

◇南稜 「堅守としぶとい攻撃」

 少ない安打数でも得点を奪えるしぶとい攻撃と、投手を中心とした堅守を武器に、一気に埼玉の頂点まで登り詰めた。

 打線は派手さはないが、どこからでも好機を演出できる。ゴロを徹底することで生じた相手のミスに、機動力が絡めば一気の大量点も可能。打順は流動的だ。1番北出は俊足好打。3番竹原はチーム一の6打点と勝負強く、4番菅原は1年生ながら思い切りがいい。

 投手は右下の高瀬から右上の佐野への継投が濃厚。ともに驚くような球はないが、抜群の制球力を誇り、守備に好リズムをもたらす。失策は8試合で5と少ない。特に基本に忠実な安定した送球がピンチを救ってきた。

■「隙をつく野球を」遠山巧監督

 埼玉代表として優勝した責任を理解して戦っていく。目の前の一瞬を大事に、隙を付く野球をやりたい。

■「地力が試される」武井和真主将

 一戦一戦が貴重な経験になる。知らないチーム相手に試合の中でどう対策をするか。地力が試される。

埼玉栄 「投打充実で先手必勝」

 投打の歯車がかみ合い県大会準優勝。8試合中4試合がコールド勝ちと、先行逃げ切りが必勝パターンだ。

 打率3割3分9厘をマークした打線はつなぐ意識が高く、抜け目ない。左打者を並べる猪野、神山、浜崎の1〜3番の出塁が鍵を握る。8打点を挙げた主砲高橋の前に走者をためたい。下位の武井らがより奮起すれば、さらに厚みを増しそうだ。

 投手陣は豊富。左の本間か、右の佐藤大の先発が踏ん張り、抑えの2年生右腕芝崎につなぐのが理想的だ。リードする高橋は強肩。守備は内外野ともに鍛えられている。だが決勝で1イニング3失策し大量失点。ミスしても連鎖は防ぎたい。

■「基本浸透させたい」細淵守男監督

 基本を浸透させたい。打線はそこそこ力があるので、一つのアウトをきっちり取れればチャンスはある。

■「投手の踏ん張り改善」高橋亮介主将

 決勝のようなミスをすると負ける。投手陣が踏ん張れるようになってきたので、そこの部分を出したい。

◇春日部東 「安定感抜群両エース」

 堅い守備から攻撃につなげるスタイルは健在。県大会では蕨、選抜大会8強の浦和学院と延長十五回引き分け再試合を2度も制し、力を付けた。

 左右2枚ずつをそろえる投手陣は防御率0・76。中でも右横・田中と左横・熊谷のダブルエースは強力だ。ともに球持ちが良く、延長十五回を投げ切ったスタミナも申し分ない。右横の丹羽も球にキレがある。バックは確実にアウトを積み重ねたい。

 打線は打率2割1分9厘と低いが、数字だけでは図り知れない勝負強さがある。8試合で11安打の1番松尾は、長打も見込める。下位の中村はチーム一の3割4分5厘。中軸に当たりが戻れば、投手陣の負担を減らせる。

■「勝利へ最善尽くす」中野春樹監督

 出場でき経験が積めるのは大事なこと。相手が強ければ強いほど勉強になる。勝つために最善を尽くす。

■「普段通りの野球を」若月和也主将

 強い相手に、いかに普段通りの野球ができるか。夏に向けて、収穫とともに課題が見つけられればいい。

◇川口 「右腕高窪の出来が鍵」

 絶対的エース・右腕高窪を軸に、昨秋準優勝の花咲徳栄を撃破するなど南部地区代表戦から4試合連続で逆転勝ち。47年ぶりの4強に進出した。

 今大会でも高窪の出来がチーム浮上の命運を握る。5試合、45回でわずか12四死球との数字が示す通り、制球力が生命線。直球を内外角に思い切りよく投げ込み、スライダーにもキレがある。捕手松崎とも好相性で、バックも堅守でもり立てる。

 打線は破壊力こそないが、終盤で決勝点を奪う試合が多かった。5番三浦、6番高窪が3割を超えるだけに、1番佐野や丸山、関本の3、4番の復調に期待。前半は球を見極め、得意の後半勝負で好機に一本出したい。

■「夏につながる試合を」鈴木将史監督

 いいチームと対戦できるので勉強になる。自分たちのやってきたことを出し夏につながる試合をしたい。

■「ロースコアなら勝機」山下雄司主将

 守るべき場面は守って、少ないチャンスの中でも点を取りたい。ロースコアに持ち込めれば勝機はある。

埼玉新聞