富士見、王者相手にあと一押し 徳栄が粘り合い制す

 あと一押し。富士見が春の王者・花咲徳栄を土俵際まで追い込んだ。もう1点。ぐっと力が入ったが、押し切れずにサヨナラ負けした。

 花咲徳栄は昨夏5回戦で敗れた相手。対戦が決まってから、波乱を起こそうと気合十分だった。

 2点を追う六回2死二、三塁から、5番小川は「相手の投手は外角に投げてくる。その球を狙っていた」と、左中間に2点適時打を放って同点に追いついた。

 八回には勝ち越しの好機を迎えた。先頭の1番森が四球で出塁。きっちり送って中軸勝負の構図を描いた。しかし、並木のバントが守備妨害。続く今嶋の一、二塁間への打球が一塁走者森に当たり、チャンスを逃した。

 逆に九回、花咲徳栄に無死の走者を送られ、2死二塁から内野安打でサヨナラ負け。山崎監督は「八回に点が取れていれば」と肩を落とした。

 昨秋は県大会3回戦まで進んだが、春は地区予選で敗退。Aシードと接戦を演じた。小川は「徳栄との差はない。最後は気持ちだと思った」。敗れはしたが、成長の跡は残した。

◇冷静に粘り合い制す 花咲徳栄

 追い付かれてもどこか余裕があるように見えた。2−2の九回、先頭の広岡が四球で出塁し、広瀬がきっちり犠打。北川は倒れたが、金子が「低く強い打球を心掛けた」と、自身4安打目となる二塁強襲安打でサヨナラ勝ちした。

 六回に同点とされたが、先発北川は「振り出しに戻っただけなので、最初からこつこつアウトを取ろうと思った」。主将の広岡も「打席ではとにかく塁に出ることを考えた」と慌てなかった。

 Aシードの重圧などどこ吹く風だ。「粘り合いなら負けない。最後はよく落ち着いていた」と岩井監督。自分たちのやるべきことに集中し、確実に勝利を手繰り寄せた。

埼玉新聞