「ダルビッシュが目標」中村、あこがれの日ハムへ プロ野球ドラフト

 プロ野球の新人選択会議(ドラフト会議)は29日、東京都内のホテルで行われ、米大リーグ挑戦を封印して国内の球団入りを表明していた注目の150キロ左腕、菊池雄星投手(18)=岩手・花巻東高=は6球団が1位指名で競合し、抽選でパ・リーグ埼玉西武が交渉権を獲得した。近くレジェンドブルー(濃紺)のユニホームに袖を通した「ライオンズ菊池」が誕生する。

 埼玉関係では春日部共栄高の右腕・中村勝投手が北海道日本ハム立教新座高出の戸村健次投手(立大)が東北楽天から、それぞれ1位指名された。セ・リーグの巨人はホンダ(狭山市)の長野久義外野手を1位で選んだ。埼玉平成高出の加賀繁投手(住友金属鹿島)は横浜から2位で、日本通運さいたま市)の阿南徹投手はオリックスから5位で指名された。ホンダの諏訪部貴大投手はオリックスから6位指名された。

 菊池には埼玉西武をはじめ、日本ハム楽天セ・リーグの中日、東京ヤクルト阪神が競合。くじ引きで一番先に引いた埼玉西武渡辺久信監督が引き当てた。

 150キロを超す直球と鋭いスライダーが武器の菊池は、今年の甲子園大会を大いに沸かせた。春は惜敗で優勝を逃したが、春夏通じて岩手県勢初の決勝進出の原動力となり、夏は同県勢90年ぶりの4強入りに貢献した。会見に臨んだ菊池は「(埼玉)西武にはいい投手がたくさんいる。一日でも早く戦力になれるように練習したい」と早くも入団の意思を表明した。

ダルビッシュが目標 中村、あこがれの日ハムへ

 テレビを見詰める中村の口元が緩み、小さく何度かうなずいた。日本ハムに1巡目で指名された右腕は、「ずっとどきどきしていた。すごくうれしい」と表情を崩した。

 春日部共栄高では2年生秋からエース。甲子園出場はなかったが、しなやかなフォームから繰り出す最速143キロの直球は伸びがあり、当時からプロに注目されていた。

 プロは小学2年生で野球を始めたときからの夢だ。日本ハムにはあこがれのダルビッシュがいる。3月のワールドベースボール・クラシック(WBC)を見て、左肩が開かないフォームを研究。細身で端正な顔立ちから、「埼玉のダルビッシュ」の愛称もついた。「素晴らしい投手。目標にして頑張りたい」と、入団後を思い描く。

 同高の本多監督は「これから体ができたら、いい投手になる」と太鼓判を押した。

◇「真っすぐアピール」立大から22年ぶりの1位・戸村

 楽天の1位指名を受けた戸村は、「まさか1位とは思わなかった」と驚く。立大からの1位指名は1987年のヤクルト・長嶋一茂以来、実に22年ぶりだ。

 素材の良さが魅力の速球派で、長身から投げ下ろす直球が武器。2005年夏の埼玉大会はけがと体調不良で1回戦敗退に終わったが、立大に進み東京六大学リーグで通算10勝を挙げるなど力をつけた。

 楽天の岩隈は「高校のときからあこがれだった」という。「技術的なことも精神的な部分についても話を聞いてみたい」と目を輝かせた。右足のけりと左手の使い方を見習って体の開きを抑え、球速アップにつなげた。「自分の売りは真っすぐ。がむしゃらにアピールしたい」と闘志を見せた。

埼玉新聞