2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧
(春日部共栄4―2桶川) 桶川の加藤竜也投手(3年)は試合後、目を真っ赤に腫らしながらも、表情には充実感が漂っていた。「欲を言えば、勝ちたかった。でも、最高の仲間に支えられて投げきった」 春季県大会でベスト4に進出した昨年のチームと、常に比較…
試合終了のサイレンが鳴ると、崩れ落ちるように膝をついた。「あれだけ練習したのに、まだ足りなかったのか」。悔し涙があふれた。 1年の秋から正捕手に抜てきされ、中心選手として活躍。しかし昨夏の大会前、左鎖骨を骨折。けがをおして出場したが4回戦で…
坂戸西4−1川口青陵(4回戦、21日) 3点を奪われるも、得意のストレートとカーブで踏ん張ってきた。しかし、降り続く雨は手元を狂わせ、甘く入った球を打たれて1点を追加された八回裏、交代を告げられマウンドを降りた。7番ながら自信の打撃で挽回を…
チームには「相手に敬意を払い、試合中はガッツポーズを自重する」との決まりがあるが、「つい、やっちゃいました」。公式戦では自身初の本塁打でもあっただけに、喜びを爆発させた。 1−0で迎えた五回表2死二塁。雨天試合で負担が大きい投手のためにも「…
見知らぬ埼玉の地で迎えた“球児の夏”がまた一人終わった。川越工の大浦雄太選手(17)は福島県双葉町出身。東京電力福島第1原発事故の影響で同県南相馬市の小高工から昨年4月に編入した。未曽有の原発事故に翻弄(ほんろう)され、家族も仲間も遠く離れ…
第94回全国高校野球埼玉大会第8日は21日、県営大宮ほか6球場で4回戦16試合を行い、ベスト16が出そろった。富士見は鈴木が決勝タイムリーを放ち、Aシード埼玉栄を2−1で下した。Bシード川口は右腕高窪が大宮東を6安打完封し、34年ぶりの16…
◇成長の夏 秋へ意気込み 埼玉大会4日目の14日午前8時、所沢航空球場に、連合チーム「越生・鶴ケ島清風」の選手たちが集まってきた。 「腹いてぇ」 藤永将大選手(越生1年)がおなかを抱えてトイレに駆け込んだ。成川和希選手(鶴ケ島清風1年)も腹痛を…
第94回全国高校野球選手権埼玉大会は3日間の休みを挟み、21日から4回戦に突入する。実力接近の好試合が期待できる中、強豪から大金星を狙うチームもいる。1997年以来、15年ぶりの4回戦に進出し選抜大会8強のCシード浦和学院に挑む与野を訪ね…
第94回全国高校野球選手権埼玉大会は順調に日程を消化し、17日で3回戦が終了した。出場157チームのうち、125チームが涙をのみ、32校が4回戦に進出。ここまでの戦いを振り返る。 ◇Aシード南稜が敗退 シード16校のうち5校が姿を消した。春季…
3−3の同点で迎えた9回裏1死一塁、越谷西の山川拓也投手(3年)はカーブを投げようとした右手が右足に引っかかり、球がマウンドに落ちて転がった。 「ボーク!」 こんなことは初めて。動揺はしていないと思ったが、直球が甘く入り、2連打でサヨナラ負け…
努力は必ず報われる。そう信じて続けた練習がこの日、結実した。二回に2死三塁で右中間に単打を放ち、四回には1死満塁から中前にはじき返し、2者が生還。チームの全打点を挙げた。「思い切りプレーできた。悔いはない」。サヨナラ負けの幕切れにも晴れや…
獨協埼玉の投手、丸山秀平主将(3年)は登板前、先頭打者は四球で出さないと決めていた。仲間とも「打たせて守りきろう」と約束した。しかし、3回表の先頭打者。3ボール1ストライクからの5球目は、狙いよりほんのわずか外角に外れ、歩かせてしまった。 …
ぼてぼての当たりが内野に転がった。「セーフになれ!」。9回表1死、志木の赤川翼選手(3年)は頭から猛然と一塁に滑り込んだ。アウト。最後の打席で出塁はかなわなかった。 「悔しい。1本打ちたかった」。真っ黒に日焼けした顔をゆがめた。 1年生の夏…
4回1死まで熊谷商に三塁を踏ませなかった本庄一の先発、䖝涼介選手(3年)。しかし、6番に四球、7番に死球を与え、ペースが崩れた。「当ててしまった。力みが出たな」。自分自身、動揺しているのがわかった。 続く8番には初球を右前に運ばれ1点を先取…
鷲宮の戸井田豊投手(3年)は、攻守とも闘志むき出しだ。 マウンドで、速球を投げる時は鬼の形相。全力で腕を振り、帽子が脱げ落ちる。 6回表1死二塁、塚本拓也捕手(2年)が中前にはじき返すと、二塁走者の戸井田投手は迷わず三塁をけった。捕手が捕球…
市川越の応援席最前列に、にこやかにほほ笑む1枚の遺影が掲げられていた−。同校野球部で長年、守備コーチを務めてきた中尾根善幸さん=享年(61)=が2日前の15日、白血病のため都内の病院で亡くなった。17日、朝霞市営球場で行われた3回戦で、市川…
気象庁が関東甲信越地方の梅雨明けを発表した17日、県営大宮など6球場で3回戦の残り16試合を行い、4回戦に進出する32校が出そろった。 Bシード春日部東は九回1死一、三塁から松尾のサヨナラ左前打で越谷西を4−3で振り切った。Dシード昌平は正…
元米大リーガーの野茂英雄さんをほうふつとさせる「トルネード投法」で挑んだ羽生一の鈴木貴道投手(2年)が、勝利の目前で力尽きた。 5回から登板。2点リードで迎えた9回、先頭打者へのチェンジアップが高めに浮き、左越え三塁打を浴び、その後、まさか…
同点で迎えた9回裏の蓮田松韻の守り。カツーン。乾いた音を残して打球が二塁手の関雅大主将(3年)の守備範囲に飛んできた。必死でグラブを差し出すが、惜しくも一瞬早く打球は外野へ抜けていった。 サヨナラ負け。試合終了後のベンチで関君は突っ伏して動…
秀明英光スタンドの最前列で塩浜康介選手(3年)は、あふれ出る涙を抑えられずにいた。相手は強豪の聖望学園。目の前でプレーする選手たちの気迫は、これまで見たことがないほどだった。 「絶対に勝てる」。そう確信していた。序盤から厳しい展開だったが、…
◇逆風つき左翼席へ 初めての体験 次戦へ弾み 1点を追う3回、富士見の1番打者の谷口清司選手(3年)がフルスイングすると、打球は逆風をついて左翼芝生席で弾んだ。 「なんとか塁に出たかった。審判が腕を回していたのを見たときはうれしかった」と自身初…
背番号10が堂々と立ちはだかった。武南の左腕、森幹央(みきお)投手(2年)が公式戦初先発ながら古豪・春日部を完封。121球を投げきり、「生涯初完封」を飾った17歳は「辛抱強く投げられた。すごくプラスになる」と白い歯を輝かせた。 182センチ…
第94回全国高校野球埼玉大会第6日は16日、県営大宮など6球場で3回戦の16試合が行われ、坂戸西がAシード南稜を破った。 坂戸西は3−3の延長十二回、板橋のスクイズと宇津木の右前打で2点を勝ち越し。投げては4番手の2年生左腕宇津木が6回を無…
「勉強ばっかやってんなよ。最後の1カ月くらい野球やろうぜ」。大会を目前に控え、チームを引っ張りながらも学業を優先していた河野主将を変えたのは、矢作公宏選手ら三年生の声だった。 名門・浦和高で「検察官になるのが夢」と語り、東大合格を目指してい…
一昨年の埼玉大会覇者の本庄一相手に、大宮光陵は再三のピンチを最少失点で守り抜いた。相手エース萩原隼投手(3年)から点が奪えなかったが、選手たちは「対等にやりあえた」と充実した表情を見せた。 「打たれたら仕方ない。四球でランナーをためず、攻め…
1点を追う9回表2死三塁。投手がサインに首を振った。「ストレートだ」。児玉の4番小橋川ビトル選手(3年)は確信した。これまでの2安打は、いずれもカーブをはじき返した。狙い通りの直球が来たが二ゴロ。試合は終わった。 「絶対に振り抜こうと思った…
8回裏、2死一、二塁のピンチ。2点をリードされ、もう後がない。「こんなケース、よくあったじゃないか。いつものように楽しもうぜ」。川越総合の利根川拓郎主将(3年)はマウンドに集まった仲間にほほえみかけた。 その笑顔を見て、先発投手の貫井大地選…
第94回全国高校野球埼玉大会第5日は15日、11球場で2回戦の残り27試合を行い、3回戦に進出する64校が出そろった。 熊谷工は1−1の九回、2死一塁から半沢のサヨナラ二塁打で伊奈学園に2−1。草加西は3−3に追い付かれた九回、敵失で川越西に…
「高校野球、ありがとう」−。市営浦和球場で15日、浦和北との2回戦に臨んだ市浦和の中村三四監督(60)は1988年夏に、浦和市立(当時)を率いてノーシードから埼玉の頂点に立ち、甲子園ベスト4にまで導いた。定年を迎え、今年が最後の夏。惜しくも…
「コールドにはさせない」。花咲徳栄に0−5でリードされた八回裏1死一、三塁、2球目に投じたスライダーは狙い通り低めに決まったが、左中間に運ばれ走者二人が生還。コールドが成立した。 だがその顔に涙はなかった。「全力投球の結果。花咲徳栄はさすが…